ぽっこりお腹だけじゃない!メタボの基準はウエスト周囲径やBMIにも
メタボリックシンドロームという言葉は「メタボ」と略され、テレビやCMで耳にする機会も多くなりました。何気なくメタボと口にはするものの、実際にはどんな人がメタボなのかイマイチ分からないという人も多いのではないでしょうか。
そこでこの記事では、メタボの基準や肥満の判定方法について詳しく解説します。
メタボリックシンドロームについて
メタボリックシンドロームとは、内臓に脂肪が蓄積するだけを指すのではなく、脂肪の蓄積とともに「中性脂肪値・HDLコレステロール値」「血圧」「血糖値」のいずれか2つ以上が当てはまる状態のことをいいます。
厚生労働省が平成24年に発表したメタボの該当者と予備軍の人数は約1,394万人となっており、大きな問題になっています。
メタボが起きる原因のひとつに運動不足があります。通勤は車や電車移動、会社ではデスクワークと体を動かす機会は少なく運動不足が続き、肥満になりやすくなるのです。肥満になると、内臓脂肪が大きくなり、悪玉因子であるIL-6などを多く排出します。悪玉因子が排出されると血糖を下げるインスリンが効きにくくなり、動脈硬化などを起こしやすくなると考えられています。
https://www.mhlw.go.jp/bunya/shakaihosho/iryouseido01/info02a-2.html
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/suii09/deth8.html
■出典:一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会
https://www.jamt.or.jp/information/metabo-200804/index.html
メタボの基準
実はメタボは見た目だけで判断することはできません。メタボを判断するための検査として、日本では2008年から40〜74歳を対象に「特定検診・健康保険指導」がスタートしました。特定検診はメタボに特化した検診を行い、生活習慣病のリスクが高い人は保健師や栄養管理士から生活習慣を見直すサポートを受けられます。
では、具体的にはこの検診で何を基準としてメタボと判断されるのかを見てみましょう。
ウエスト周囲径
メタボを判断する方法には「ウエスト周囲径」があります。内臓脂肪面積が100 cm2を超えると、それ未満と比較して高血糖や高血圧などの合併率がおよそ50%以上も高くなるのでここを越えるか越えないかが内臓脂肪蓄積の基準となっています。
内臓脂肪蓄積をより正確に調べるためにはCT検査を行う必要が出てきますが、CT検査はどこの病院でもできるわけではないので判断しやすい「ウエスト周囲径」が採用されたのです。この方法は基準となる数値が定められ、男性の場合は85cm、女性の場合は90cmです。
ではなぜ、男性と女性とでは基準の数値が異なるのでしょうか。それは、男女合わせた1,200人のCT検査を行った結果、内臓脂肪面積の100 cm2に相当するウエストが男性は平均84.4cm、女性の平均は92.5cmという結果が出たからです。
また、男性よりも女性のウエストの数値が大きい理由は、女性の場合は皮下脂肪がつきやすいからだといわれています。そのため、女性は内臓脂肪面積が100 cm2が蓄積されていても、皮下脂肪がついている分男性よりもウエストが大きくなります。
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/metabolic/m-01-004.html
選択項目
メタボの診断基準にはウエスト周囲径がありますが、ウエストの周囲だけを測るだけでは、メタボと断定することはできません。メタボと判断するのには必須項目と選択項目の両方の条件を満たしているかどうかが重要になってくるのです。
必須項目はウエスト周囲径が基準を超えていることが条件です。さらに、選択項目である「中性脂肪値・HDLコレステロール値」「血圧」「血糖値」のいずれか2つ以上が基準値を超えることが必要です。
選択項目には3つあり「中性脂肪値・HDLコレステロール値」「血圧」「血糖値」のいずれかが2つ以上、基準値を超えるとメタボと診断されます。
中性脂肪値の数値は、150mg/dl以上でHDLコレステロール値は40mg/dl未満が基準です。血圧は最高血圧が130mmHg以上、最低血圧が85mmHg以上です。血糖値の場合は110mg/dl以上が基準となります。
メタボ対策のためBMI値による肥満の判定方法
メタボ対策のためには、まず自分のBMI値を把握しておくことが大切です。BMI値とは、ボディマス指数といって体の大きさを表す数値のことです。BMI値の算出方法は「BMI=体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)」で算出できます。
BMIは、メタボ予備軍として特定検診や特定保険指導の基準には採用されています。身長と体重が分かればすぐにBMIは算出できるので、まずは自分の数値を把握するところから始めましょう。
理想的なBMIは22とされています。BMIが18.5以下だと低体重、18.5〜25未満が普通体重、25以上が生活習慣病のリスクが高まります。しかし、BMIは肥満の判定をするための方法であり、メタボの診断基準には該当してはいませんので注意しましょう。
https://tanita.zendesk.com/hc/ja/articles/360010024973-BMI…
■出典:東京都病院経営本部
http://www.byouin.metro.tokyo.jp/eiyou/himan.html
まとめ
メタボリックシンドロームの診断基準を理解すると、健康診断の際に自分でも数値をよく見るようになり、健康への意識が高まります。お腹周りが気になりだしたらウエストのサイズをこまめにチェックし、日頃から自分の体を意識しましょう。