高血圧対策に取り入れたい適切な運動の目安は?運動量や注意点まとめ


さまざまな症状の原因ともなる高血圧はあまり自覚症状がないことから「サイレントキラー(沈黙の殺し屋)」とも呼ばれています。そんな高血圧になる要因のひとつとしてあげられるのが運動不足です。
今回の記事では、運動不足によって起こる高血圧のメカニズムや、高血圧の人のための運動療法などについて詳しく解説します。

運動不足が招く「高血圧」のメカニズム

高血圧には血管の柔らかさが関係しているといわれています。これは血液が体内をめぐる際、血管そのものが硬くなっていると、血管に余計な圧がかかり血圧が上昇する恐れがあるためです。中でも運動不足になると血管の老化によって硬くなりやすく、その結果高血圧になりやすいと考えられています。

■出典:全国健康保険協会
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g5/cat510/h30/300401001

高血圧対策に運動をする理由

高血圧対策に取り入れられる運動には、血管が拡張し、その結果血圧が下がる働きが期待できます。また、運動すると相対的にインスリンの分泌量が減る傾向に。インスリンには血圧を上昇させる働きがあるため、インスリンの分泌量が減ることで高血圧をケアできるといわれています。
さらに、適度な運動は腎臓のナトリウム貯留をサポートし、尿の出を促すので体液量が下がるために血圧を抑える働きが期待できるでしょう。他にも一定のリズムで行う有酸素運動は交感神経を整え、バランスのいい状態にコントロールするので、血管が拡張しやすくなると考えられています。
高血圧の要因のひとつとしてストレスも挙げられますが、適度な運動はストレスの発散にもつながるなど、さまざまな理由から高血圧対策には運動がおすすめです。

高血圧の人のための運動療法

高血圧の症状をケアするためには、日常的に適度な運動が大切です。ここでは、高血圧対策にメリットのある運動について、運動量や運動する時間帯、注意点などについて見てみましょう。

運動量

高血圧の対策には、できれば毎日、定期的に30分以上の運動が望ましいとされています。毎日が難しい人は週に3〜4回程度でもいいでしょう。また10分以上の運動であれば、合計して1日30分以上であればいいといわれています。
高血圧の人には、早めのペースで歩くウォーキングや軽めのジョギング、自転車、水泳などの有酸素運動を、おしゃべりしながらできるくらい軽く息が上がる程度の運動がおすすめです。激しい無酸素運動はかえって体に負担をかけてしまう恐れがあるので気をつけましょう。

運動する時間帯

高血圧の人は、運動する時間帯についても注意が必要です。早朝の空気の中でウォーキングやジョギングをするのは気持ちがいいですが、起床してすぐに運動を始めるのは懸念されています。
寝ている間には自律神経の副交感神経の働きにより体が休んでいる状態です。起床すると自律神経は副交感神経から、交感神経に切り替わります。交感神経の働きが活発になるまでには、しばらく時間がかかるので、交感神経がうまく働いていない状態でいきなり運動をすると、交感神経の緊張を高めてしまい、心拍数や血圧が上昇して体に負担がかかりやすい傾向にあるでしょう。
そのため早朝の野外運動は控え、屋内での運動がおすすめです。それでも、屋外での運動をしたい場合は、ゆったりとしたウォーキングなどを主体に取り入れてみてください。

運動療法の注意点

高血圧の人が運動する際、事前にメディカルチェックを受けることが推奨されています。中には、高血圧が原因の合併症を併発しているケースもあるため、医師から運動療法を行って良いかどうか確認するようにしましょう。確認がとれた上で、個人の年齢や体力、体重などを考慮して運動量を決めるのが望ましいです。
また、運動中に胸の動悸や息切れ、頭がふらふらするなどの症状が起こった場合は、すぐに運動を中止し医師に相談してください。そして運動中には脱水を予防するため、水分補給をしっかりと行うようにしましょう。

まとめ

生活習慣病のひとつとして数えられている高血圧は、放っておくと合併症の原因にもつながるため早い段階で生活習慣の見直しが大切です。バランスの良い食事や睡眠、ストレス解消などに加え、適度な運動は高血圧対策に期待されています。
高血圧の人はなるべく一定のリズムで行える有酸素運動を毎日の生活に取り入れましょう。自分の体調や気候などにも考慮し、運動前には医師に相談してみてくださいね。