お酒もタバコもやめられない?悪い生活習慣がもたらす高血圧のデメリット


高血圧は生活習慣病のひとつとして、食生活の乱れや運動不足、喫煙やアルコールの過剰摂取といった日々の不摂生が積み重なることによって引き起こされるといわれています。生活習慣病は気がつかないうちに症状を進行させてしまう恐れがあるので、早めのケアが重要です。
今回は、生活習慣と高血圧の関係について解説しましょう。

生活習慣が及ぼす高血圧への影響

血圧は身体や精神活動の変化に応じて日々変化する傾向にあります。その中でも、特に生活習慣は高血圧に影響を及ぼす要因だと考えられています。
例えば味の濃い食事ばかり摂取していると高血圧を招く恐れがあるでしょう。なぜなら塩分を摂りすぎると血中の塩分濃度が高くなるために、それを薄めるために身体は水分を溜めこみ、その結果として血液量が増えるリスクが。通常であれば排せつなどで元の状態に戻りますが、排せつが追い付かない場合、血液が増えた状態のまま全身に血液を送ろうという働きがみられます。この状態では血管にかかる圧が強くなり、高血圧へとつながってしまうのです。
また、運動不足による肥満も高血圧を引き起こすものとして懸念されています。血圧は自律神経やホルモンの微細な動きによってコントロールされているので、肥満になると脂肪細胞からさまざまな物質が分泌され、自律神経やホルモンのバランスを乱してしまうことに…。すると血圧のコントロールが適切に働かず、高血圧を招くケースが想定されます。
このように血圧の上昇を抑えるためにも、生活習慣は整える必要があるでしょう。

高血圧治療ガイドラインによる生活習慣の見直し

日本高血圧学会は高血圧についてのガイドラインを発表しています。高血圧の判断基準や目標値、また生活習慣の改善方法についても記載されているため自身の生活を見直すときに参考にするといいでしょう。

節酒と禁煙

お酒を飲み過ぎると血圧が上昇し、その状態が続けば重篤な症状のリスクが高まる傾向があり注意が必要です。アルコール摂取の目安量は男性で「日本酒1合ほど、ビールであれば中瓶1本ほど、焼酎であれば半合弱」とされており、女性はその半分~3分の2といわれています。もちろん個人差はありますが、これを目安に飲み過ぎないようにしましょう。また、禁煙も高血圧対策には欠かせません。実は、タバコと高血圧の関係は未だ解明されていない部分が多く、直接的な原因とはみなされていません。しかし、タバコを吸うと一時的に血圧が上昇する傾向に……。喫煙者と非喫煙者を比べると前者の方が平均して血圧が高く、また喫煙者もタバコを吸った日と吸わない日では前者において血圧が高いケースがあり、高血圧対策として禁煙が推奨されています。

減塩

日本高血圧学会の「高血圧治療ガイドライン2019」では、食塩の摂取量は1日約6g未満が理想とされています。しかし日本人の平均食塩摂取量は男性で約10.8g/日、女性が約9.1g/日(平成29年国民健康・栄養調査結果)と、理想量をはるかに超えているようです。
もちろん個人差はありますが、おおよそ1日に約3~4gの減塩が望ましいといえるでしょう。まずは日々使っている調味料を見直し、減塩できないか考えてみてください。醤油やソースでなく酢やこしょうを使ったり、天然だしを活用し味噌の量を減らすなど、ちょっとした工夫で減塩は目指せます。

■出典:公益財団法人 日本心臓財団
https://www.jhf.or.jp/pro/a&s_info/guideline/post_3.html
■出典:日本高血圧学会
https://www.jpnsh.jp/com_salt.html
■出典:厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000351576.pdf

適度の運動

前述の通り、肥満は高血圧に繋がるリスクがあります。適度に運動を行い、適正体重を保つように心がけましょう。
また、運動をするとストレス発散になり、そのことも高血圧予防につながると考えられています。血圧は交感神経が優位になると上がる傾向にありますが、運動によってストレスが発散され、身体がリラックスモードになれば交感神経の緊張を和らげてくれる働きが期待できるからです。
できれば毎日1日30分以上、難しければ週に3~4日を目安にウォーキングやジョギング、サイクリングなどの有酸素運動を、軽く息がはずむ程度で行うことがおすすめです。過度な運動は避け、すでに高血圧と診断されている方は自己流ではなく、医師に相談してから始めるとよいでしょう。

降圧目標

血圧の正常値は年齢によって変わり、一般的には年齢が上がると共に上がると考えられています。具体的には、75歳未満の成人であれば、上が120mmHg以下、下は80mmHg以下が目標です。例えば75歳以上で上が140mmHg以上、下が90mmHg以上は高血圧の診断基準に該当するため注意が必要です。
ただし、本人の体質や既往症などによってこの数値は変わることがあります。詳しく知りたいときは専門医に相談してくださいね。

まとめ

生活習慣の乱れは高血圧を引き起こすだけではなく、メタボリックシンドロームなど他の症状にも影響を与えます。「健康な身体は健康な生活から」という基本を意識し、日々の暮らしを見直すようにしましょう。