季節によって血圧は変動する?特に注意したい季節の変わり目の血圧対策


季節の変わり目は、体調を崩しやすい時期でもあります。血圧が高い人にとっては、温度差による血圧の変動が体に及ぼす影響も気になるところでしょう。季節によって血圧がどう変動するのか知っておくことも大切です。
ここでは、季節の移り変わりに応じた血圧対策について説明していきます。

季節によって変動する血圧値

血圧の値は実は一定ではなく、1日の中でも時間帯や行動によって変動しますし、より長い周期でも変動しているのです。それでは血圧の変動、気温との関係について詳しく解説しましょう。

気温と血圧の相関

血圧と気温の間には、相関関係があるといわれています。血圧は気温が高いと低くなり、気温が下がるにつれて高くなる傾向があるのです。また季節ごとでは、春から夏にかけて血圧は低くなり、秋から冬にかけて血圧は上昇がみられます。
このように季節によって移り変わる血圧の変動のことは、季節変動と呼ばれています。

血圧が受ける気温の影響

血圧は気温の影響を受け、気温が低くなると、血管が収縮することによって血圧が上がり、体温を維持して寒さに対応しているのです。また、気温が下がると運動量が減少して、食生活においても塩分の摂取量が増える傾向があり、血圧上昇の一因になるといわれています。

血圧の日内変動

血圧は1日の中でも変動しています。睡眠中には血圧は低い数値を示し、起床時には高くなる傾向にあります。日常生活を送っている間も、睡眠中と比べて血圧は高い数値を示し、このように1日単位で変動する血圧のことを「血圧の日内変動」とも呼びます。

血圧の基準とは

血圧が気になったとき、高血圧の基準について知っておくことは大切です。日本高血圧学会の「高血圧治療ガイドライン2019」で、診断が必要な血圧基準が示されています。
正常血圧に分類されるのは、診察室血圧が最高血圧120mmHg未満かつ最低血圧80mmHg未満。家庭内血圧では最高血圧115mmHg未満かつ最低血圧75mmHg未満です。
そして正常高値血圧に分類されるのが、診察室血圧で最高血圧が120~129mmHgかつ/または最低血圧が80mmHg未満、家庭内血圧で最高血圧115~124mmHgかつ/または最低血圧75mmHg未満です。
また診察室血圧で最高血圧130~139mmHgかつ/または最低血圧80~89mmHg、家庭内血圧で最高血圧125~134mmHgかつ/または最低血圧75~84mmHgの場合は高値血圧に分類されます。診察室と各家庭での差に注意しておきましょう。

一般的に、高値血圧を超える数値を示した場合に高血圧といわれます。正常血圧を超えた場合は高血圧予備軍の段階であるため、注意が必要です。
高血圧の場合、血圧の高さに応じてⅠ度高血圧・Ⅱ度高血圧・Ⅲ度高血圧に分類されます。なかでも診察室血圧で最高血圧140mmHg以上かつ最低血圧90mmHg未満、家庭内血圧で最高血圧135mmHg以上かつ最低血圧85mmHg未満の場合には、(孤立性)収縮期高血圧に分類されます。
収縮期高血圧は、動脈硬化が進行した人に多く見られる症状です。血圧は、高い数値を示すほど脳卒中を発症しやすくなると考えられています。血圧が高い数値を示している人は、しっかりと治療を行って血圧を下げるよう努力することが大切です。

季節の影響を受ける血圧対策

気温と血圧の関係から、血圧は四季の温度差に応じて変動しています。そのため、季節に応じた血圧対策を講じなければいけません。
冬場を中心とした寒い時期には、血圧も気温に応じて上昇するため、血圧対策が重要になります。他の季節には正常な範囲の血圧値を示している人でも、冬だけ高血圧に分類される血圧値まで上がるケースもあります。
そのため、寒い時期は、温度差によって血圧が変動することを特に避けなければなりません。暖かい部屋から寒い場所に移動する場合や入浴の前後など、温度差が大きいと血圧も変動しやすいでしょう。トイレや浴室の脱衣所もリビングと同じように暖めておくなど、温度差を作らないように対策を取っておくことが望ましいです。
また、寒い時期は運動不足になりがち。適度な運動をしていないと、体重増加の原因にもつながることに……。運動は、高血圧の原因でもある体重増加を抑えるほか、ストレス発散にも役立つものです。
運動の他には食生活にも注意する必要があります。寒い時期には塩分の多い食事が多くなる傾向があります。日々の食生活を見直して、血圧の上昇を抑えるようにしましょう。
このように季節ごとの血圧の特徴を理解し、その時々にあわせた対策をとることが大切です。

■出典: ティーペック株式会社
http://www.t-pec.co.jp/health-news/2010/01.html
■出典:日本郵政グループ 逓信病院
https://www.hospital.japanpost.jp/health/health201211.html

まとめ

血圧は、ただ数値を気にするだけでなく、季節などさまざまな状況を見て判断する必要があります。血圧対策も、温度や日常生活における時間帯などに応じて考えていかなければなりません。血圧の季節変動や日内変動を考慮しながら有効な対策を取って、健康的な日常生活を手に入れましょう。